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オレンジ洗剤、特許商品公開情報

 

 

 

 

【課題】 合成界面活性剤を含まず、十分な洗浄力を有し、且つ安全である洗浄用組成物を提供する。
【解決手段】
リモネン、グリセリン、クエン酸及び食塩を含有し、合成界面活性剤を含有しない、pHが4.0~5.5である洗浄用組成物。


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【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油汚れ等の洗浄に用いる洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク汚れ、レンジ周りの汚れ及び爪のエナメル等を除去するために、トルエン又は酢酸ブチル等の化学溶剤が利用されている。しかし、これらの化学溶剤を使用すれば、人体に皮膚炎等を引き起こしたり、自然環境の汚染を引き起こしたりする等、様々な悪影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
そのような状況の中、近年では、上記の化学溶剤に代わり、天然の柑橘系抽出物であるリモネン等のテルペン系炭化水素を含む安全性の高い洗浄剤も利用されている(例えば、特許文献1及び2を参照。)。リモネン等のテルペン系炭化水素は、油汚れ等に優れた洗浄力を有しており、住宅用又は衣料用等の洗浄剤に配合されている。
【0004】
ところで、洗浄剤には、一般的に合成界面活性剤が配合されている。合成界面活性剤は、水だけでは除去することが困難な油汚れ等の脂溶性の汚れを乳化し除去することができる。上記の特許文献1及び2で開示された洗浄剤にも、合成界面活性剤が配合されている。しかし、合成界面活性剤は体内及び自然環境では分解が難しい。そのため、合成界面活性剤を使用すれば、体内では化学物質が残留し内臓障害及び皮膚障害を引き起こしたり、自然環境では水質汚染を引き起こしたりする原因となる等、人体及び環境への悪影響が懸念される。そこで、合成界面活性剤を含有せず、精油及びアルカリイオン水を混合することにより、洗浄力を有する精油乳化物を製造する方法も提案されている(例えば特許文献3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-105394号公報
【特許文献2】特開2007-314737号公報
【特許文献3】特開2005-200564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の精油乳化物は、アルカリ性であり、弱酸性である手肌に接触すれば、手肌のpHバランスを損ない、刺激を与えることになるため、手荒れ等の問題が懸念される。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、手肌に優しく、油汚れ等の汚れを除去することを可能にした洗浄用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様は、リモネン、グリセリン、クエン酸及び食塩を含有し、合成界面活性剤を含有しない、pHが4.0~5.5である洗浄用組成物である。
【0009】
このように上記態様の洗浄用組成物は、人体及び環境に影響のおそれのある合成界面活性剤を含んでいないため、安全である。また、リモネン、グリセリン、クエン酸及び食塩を含むことにより、手肌に優しく、十分な洗浄力が実現できる。
【0010】
この態様において、リモネンの含有率が、洗浄用組成物全体の10~30重量%であり、且つグリセリンの含有率が、洗浄用組成物全体の10~25重量%であることが好ましい。
【0011】
また、この態様において、クエン酸の含有率が、洗浄用組成物全体の1.0~2.0重量%であることが好ましい。
【0012】
さらに、この態様において、食塩の含有率が、洗浄用組成物全体の1.0~2.0重量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、手肌に優しく且つ優れた洗浄力を備えた洗浄用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0015】
本実施の形態の洗浄用組成物は、リモネン、グリセリン、クエン酸、及び食塩を含有しており、合成界面活性剤は含有してない。また、本実施の形態の洗浄用組成物のpHは、4.0~5.5である。
【0016】
リモネンは、天然果実から抽出される精油であり、油汚れ等の除去に効果を示すことが知られている。また、殺菌及び消臭の効果があるほか、優れた芳香性を有している。本実施の形態の洗浄用組成物でも、リモネンを配合することにより、同様の効果が期待できる。
【0017】
グリセリンは、油汚れ等を溶解することができる。そのため、本実施の形態の洗浄用組成物にグリセリンを配合することにより、リモネンの油汚れ等を除去する働きを助け、洗浄力を向上させる効果がある。また、グリセリンには保湿性がある。リモネンは、油を除去する効果があるため、直接接触すると手の皮脂膜をはがしてしまい、角質の水分が乾燥し、手荒れ等の問題を起こすことが懸念される。そのため、本実施の形態の洗浄用組成物に保湿性のあるグリセリンを配合することにより、リモネンにより引き起こされる手の乾燥を抑制し、手荒れを防止することができる。
【0018】
本実施の形態の洗浄用組成物は酸性である。酸性の洗浄用組成物は有機成分や樹脂を分解することができる。そのため、油汚れの除去を助けるだけでなく、樹脂性の汚れを除去することにも効果的である。
【0019】
また、本実施の形態の洗浄用組成物は、pHが4.0~5.5の弱酸性となる。これは、手肌と同じレベルのpHであり、手肌への刺激性が少ない。
【0020】
食塩は塩化物であり、水に溶解しにくい無機物を含む汚れと反応し、可溶性の物質を生成する。そのため、本実施の形態の洗浄用組成物に食塩を配合することにより、例えばインク等に含まれる無機物の汚れと反応し可溶性の物質を生成することで、汚れを除去することができる。
【0021】
リモネン及びグリセリンは、時間の経過とともに、pHが高くなる傾向がある(アルカリ性に傾きやすい)。本実施の形態の洗浄用組成物は、クエン酸及び食塩を含有することにより、一定のpHを安定して保ち続けることができる。
【0022】
本実施の形態の洗浄用組成物は、多様な用途に用いられる。例えば、住宅用の洗浄剤として用いた場合では、油性マジック及び油性ペンキ等の汚れ、並びに粘着性テープを剥離したあとに残る樹脂を除去する等の硬表面に付着した汚れを、効果的に除去することができる。また、衣料用の洗浄剤として用いた場合では、口紅等の染み抜きを効果的に行うことができる。さらに、爪に塗布したエナメルを除去するエナメルリムーバー及びメイクを落とすクレンジング剤としても使用することができる。
【実施例】
【0023】
本発明について実施例及び比較例により詳細に説明する。なお、本発明は、その要旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
以下に、実施例及び比較例に用いた材料を示す。
リモネン:株式会社オレンジクオリティ製、「オレンジX」
グリセリン:阪本薬品工業株式会社製、「精製グリセリン」
クエン酸:磐田化学工業株式会社製、「クエン酸」
食塩:財団法人塩事業センター製、「食塩」
精製水:大洋製薬株式会社製、「日本薬局方精製水」
【0025】
(実施例1~13及び比較例1~5)
表1及び表2は、実施例1~13及び比較例1~5の洗浄用組成物の配合量、並びに洗浄力テスト及び官能評価の結果である。表1及び表2に示した配合量で各成分を混合し、実施例1~13及び比較例1~5の洗浄用組成物を作製した。得られた洗浄用組成物を用いて、下記の評価方法により、洗浄力テスト及び官能評価を行った。洗浄力テスト及び官能評価の結果は表1及び表2に併記する。
【0026】
(洗浄力テスト)
樹脂製の板に、油性マジック(ハイマッキー、ゼブラ株式会社製、商品名)、油性ペンキ(アスペンラッカースプレー、株式会社アサヒペン製、商品名)、エナメル(ジュウェライトネイルカラー、株式会社カネボウ化粧品製、商品名)及び口紅(フルメモリールージュ、株式会社カネボウ化粧品製、商品名)を塗布し、実施例1~13及び比較例1~5の洗浄用組成物を染み込ませた脱脂綿で拭き取った。その後、汚れの除去状態を評価した。
【0027】
(評価基準)
◎:完全に汚れを除去できた。
○:汚れが残っているが気にならない程度である。
△:気になる程度に汚れが残っている。
×:汚れがかなり残っている。
なお、◎及び○を合格とする。
【0028】
(洗浄用組成物についての官能評価)
実施例1~13及び比較例1~5の洗浄用組成物を直接接触させた後の手肌の乾燥感及び潤い感を評価した。
【0029】
(評価基準)
◎:肌のかさつきがなく、潤う感じがした。
○:肌のかさつきがほとんどなく、若干潤う感じがした。
△:肌のかさつきが少しあり、肌荒れしそうな感じがした。
×:肌のかさつきが非常にあり、肌荒れしている感じがした。
【0030】
【表1】

【0031】
(実施例1~13)
まず、実施例1~13の洗浄用組成物の配合量について説明する。表1に示すとおり、実施例1~5の洗浄用組成物のそれぞれは、リモネンを30、25、20、10及び8重量%、及びグリセリンを25、20、17.5、10及び7重量%の含有率で配合した。また、クエン酸及び食塩を1.5重量%の含有率で配合し、実施例1~5の洗浄用組成物を作製した。
実施例6~9の洗浄用組成物は、リモネンを25重量%、及びグリセリンを20重量%とし、クエン酸及び食塩を2.5重量%、2.0重量%、1.0重量%及び0.5重量%の含有率で配合し作製した。
実施例10及び11の洗浄用組成物は、リモネンを25重量%、グリセリンを20重量%及び食塩を1.5重量%とし、クエン酸を2.5重量%及び0.5重量%の含有率で配合した。
実施例12及び13の洗浄用組成物は、リモネンを25重量%、グリセリンを20重量%及びクエン酸を1.5重量%とし、食塩を2.5重量%及び0.5重量%の含有率で配合した。
表1に示すとおり、実施例1~13の洗浄用組成物のpHは、酸性を示した。
【0032】
上記のように作成された洗浄用組成物を用いて、洗浄力テスト及び官能評価を行った。
洗浄力テストの結果、実施例1~13の洗浄用組成物では、口紅を完全に除去することができた。また、油性ペンキ及びエナメルについては、完全に除去することはできなかったものの残った汚れは気にならない程度であった。この場合に、再度洗浄用組成物を染み込ませた脱脂綿で拭き取ると、油性ペンキ及びエナメルを完全に除去することができた。このように、実施例1~13の洗浄用組成物で実施した洗浄力テストでは、口紅、油性ペンキ及びエナメルについては、同様の結果となった。しかし、油性マジックについては実施例によって結果が異なり、実施例5、9及び13以外の洗浄用組成物では完全に除去することができたが、実施例5、9及び13の洗浄用組成物では完全には除去できず、少し汚れが残った。
【0033】
なお、本実施の形態の洗浄用組成物は、希釈されたクエン酸水及び食塩水を含有することにより、リモネン及びグリセリンのみを含有した洗浄用組成物と比べ、粘性が低下する。このため、例えば衣類等に付着した口紅等の染み抜きを行う場合、本実施の形態の洗浄用組成物は繊維に浸透することによって、繊維内に染み込んだ口紅等と接触しやすくなるため、高い洗浄力を実現することができると考えられる。
【0034】
官能評価では、実施例1~13の洗浄用組成物の何れについても、肌のかさつきがなく、むしろ潤う感じがした。この潤う感覚は、洗浄用組成物に触れた直後だけでなく、その後しばらくの間続いた。
【0035】
(比較例1~5)
次に、比較例1~5の洗浄用組成物の配合量について表2を参照して説明する。
【0036】
【表2】

【0037】
比較例1~5の洗浄用組成物を作製する前に、25重量%のリモネン、20重量%のグリセリン、並びに1.5重量%のクエン酸及び食塩を予め用意しておいた。そして、リモネン、グリセリン、クエン酸及び食塩のうちいずれかの成分を含有しない比較例1~4の洗浄用組成物を作製した。すなわち、比較例1ではリモネンを、比較例2ではグリセリンを、比較例3ではクエン酸を、比較例4では食塩を含有しない比較例1~4の洗浄用組成物を作製した。比較例5については、リモネンだけを含有した洗浄用組成物を作製した。
表2に示すとおり、比較例1、2及び4の洗浄用組成物のpHは酸性を示したが、比較例3及び5の洗浄用組成物のpHはアルカリ性を示した。
【0038】
上記のように作製された洗浄用組成物を用いて、洗浄力テスト及び官能評価を行った。
洗浄力テストの結果、比較例1~5の洗浄用組成物では、油性ペンキ及びエナメルを、ほとんど除去することができなかった。油性マジックについては、比較例4の洗浄用組成物では、少し除去できたものの気になる程度に残り、比較例4以外の洗浄用組成物では、ほとんど除去することができなかった。また、口紅については、比較例1の洗浄用組成物では、ほとんど除去することができなかったが、比較例1以外の洗浄用組成物では、完全に除去することができた。
【0039】
官能評価では、比較例1、3及び4の洗浄用組成物では、肌のかさつきがなく、潤う感じがした。これに対し、比較例2及び5の洗浄用組成物では、肌のかさつきが非常にあり、肌荒れしている感じがした。また、少しヒリヒリするような刺激性を感じた。
【0040】
上記の洗浄力テストの結果を実施例と比較例とで比べると、本実施の形態の洗浄用組成物は、リモネン、グリセリン、クエン酸及び食塩を含有することにより、優れた洗浄力を有していることが分かる。特に、リモネンの含有率が10~30重量%であって、且つグリセリンの含有率が10~25重量%の場合に、より優れた洗浄効果を発揮することが分かる。
【0041】
また、上記の洗浄力テストの結果、本実施の形態の洗浄用組成物は、クエン酸の含有率が1.0~2.0重量%のときに、有機成分や樹脂を分解し汚れの除去が容易になる等の優れた洗浄効果を発揮することが分かる。なお、表1に示すとおり、本実施の形態の洗浄用組成物は、クエン酸の含有率が1.0~2.0重量%のときにpHが4.0~5.5の酸性を示している。pHがこの範囲にある場合は、手肌と同じ酸性であるため、手肌への刺激性を軽減する効果を有する。
【0042】
さらに、上記の洗浄力テストの結果、本実施の形態の洗浄用組成物は、食塩の含有率が1.0~2.0重量%のときに優れた洗浄力を有することが分かる。洗浄力テストの結果、食塩を0.5重量%の含有率で配合した実施例9及び13の洗浄用組成物では、油性マジックが完全に除去できず少し汚れが残ったが、それ以外の食塩を1.0重量%以上の含有率で配合した実施例の洗浄用組成物では、完全に除去することができた。これは、油性マジックと食塩とが反応し洗浄用組成物に溶解しやすい物質を生成したことにより、除去しやすくなったためであると考えられる。したがって、油性マジック等を除去する用途では、食塩を1.0~2.0重量%の含有率で配合することが好ましい。
【0043】
上記の官能評価の結果、グリセリンを配合していない比較例2及び5の洗浄用組成物では肌のかさつきを非常に感じたが、グリセリンを配合した他の洗浄用組成物では肌のかさつきを感じずむしろ潤う感じがした。このことから、グリセリンを配合することにより、手肌の乾燥を防止し、手肌に潤いを与えることが分かる。
【0044】
このように本実施の形態の洗浄用組成物は、合成界面活性剤を含まなくとも、油汚れ等の汚れを除去可能な優れた洗浄力を有している。また、リモネンにグリセリンを配合することにより手肌に潤いを与え、さらにクエン酸及び食塩を配合することにより酸性を保つことができ、手肌への刺激性を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の洗浄用組成物は、住宅用及び衣料用等の洗浄剤等として有用である。

 

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【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモネン、グリセリン、クエン酸及び食塩を含有し、合成界面活性剤を含有せず、且つpHが4.0~5.5である洗浄用組成物。
【請求項2】
前記リモネンの含有率が洗浄用組成物全体の10~30重量%であり、且つ前記グリセリンの含有率が洗浄用組成物全体の10~25重量%である、請求項1に記載の洗浄用組成物。
【請求項3】
前記クエン酸の含有率が洗浄用組成物全体の1.0~2.0重量%である、請求項1又は2に記載の洗浄用組成物。
【請求項4】
前記食塩の含有率が洗浄用組成物全体の1.0~2.0重量%である、請求項1乃至3のいずれかに記載の洗浄用組成物。

 

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【公開番号】特開2010-189559(P2010-189559A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願番号】特願2009-36114(P2009-36114)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(508242148)株式会社 マツミヤ


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